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インドのストリートサイファーの生のエネルギーを表現したミックステープ『Lehar Chandigarh Mixtape』
Mass Appeal Indiaは、ストリートサイファーがレコード契約できることを証明した。
アンダーグラウンドから19人のラッパーを集めてレコード契約を獲得するのは容易ではない。Mass Appeal Indiaは常識に逆らい、インドが育んだストリート発のヒップホップムーブメント「Lehar the Movement」の生のエネルギーを2025年9月にリリースされたミックステープ『Lehar Chandigarh Mixtape』に注ぎ込んでいる。
Mass Appeal Indiaは、2019年にNasが共同設立するMass Appeal Recordsとユニバーサルミュージックインディアのパートナーシップによって設立されたヒップホップ専門レーベル(2021年に母体のMass Appeal Recordsはユニバーサル ミュージック グループとの契約を解消。現在はソニーミュージック傘下のThe Orchardと提携)。インドの急成長するヒップホップシーンのアーティストを世界に紹介することをミッションとし、DIVINE、AP Dhillon、Raja Kumariなどを輩出してきた。
Lehar the Movementは、デリーとチャンディーガルを拠点とするヒップホップムーブメント。「ヒップホップをストリートに戻す」という理念のもと、無料のストリートサイファー(即興ラップバトル)「Lehar Cyphers」を定期的に開催し、アンダーグラウンドのラッパーたちにプラットフォームを提供している。商業主義に頼らず、才能を育み、コミュニティを結びつける草の根活動として機能している。
Lehar Cyphersは、この数年間でWill Smith、Erykah Badu、Ebro Dardenといった業界の重鎮にシェアされ、The New York TimesやComplexでも特集されるなど、国際的な注目を集めてきた。
今回のミックステープに参加した19人は、Lehar Cyphersで腕を磨いてきたチャンディーガル出身のラッパーたちだ。最初に公開されたのは、Rajat BirlaとDouble Aによる「Loot」で、Leharが育んできたストリートエネルギーを完璧に体現している。
Rajat Birlaは現地のヒップホップクルー「High Ethics」のメンバーで、ビデオディレクターやB-boyとしても活動するマルチクリエイター。一方、Double Aも同じく「High Ethics」に所属するラッパー兼プロデューサーだ。プロデューサーのDev Oceanが手がけたこのトラックは、冒頭で楽しくエネルギッシュなペースを刻むが、ビートが切り替わると同時に、両ラッパーはより心に響く内省的な表現へと移行する。
しかし、「Loot」はこのムーブメントの氷山の一角に過ぎない。Dev Oceanは、チャンディーガルの多様な才能をストリートの生々しさを保ちながらまとめ上げた。参加した19人のラッパーは、ヒンディー語、パンジャブ語(パンジャブ地方の言語)、英語、ハリヤーンウィー語(ハリヤーナー州で話されるヒンディー語の方言)でラップする。スタイルは異なるものの、『Lehar Chandigarh Mixtape』には飾らない表現という共通のテーマが貫かれている。







