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Interview

SKAI ISYOURGOD & Project Pat:文化の壁を越えて。中国とメンフィスを繋ぐ「ラップ外交」

中国ラップシーンの新鋭とメンフィス・ラップのOGにそれぞれのキャリアやコラボ曲「The Diplomat」について話を聞いた。

LiFTED | Sean D [photos @lisa_blueshark] | 21 5月 2026


5月のカバースターは、世界的バイラル・センセーションを巻き起こした、広東語ラップで世界に名を轟かせる中国南部出身のラッパー、SKAI ISYOURGOD(揽佬SKAI ISYOURGOD) とメンフィス・ラップの伝説的OGとして知られるProject Pat。意外な組み合わせに思うかもしれないが、彼らはヒップホップが生んだなかでも最高峰のデュオのひとつであることは間違いない。

SKAI ISYOURGODは、メンフィス・サウンドを広東オペラ(広東地方の伝統演劇音楽)のサンプルを含む自身の広東文化のルーツや寡黙なラップ・スタイルと混ぜ合わせることで新たなサウンドを生み出した。その代表曲「八方来财(Stacks From All Sides)」と「大展鸿图(Blueprint Supreme)」は、世界的な人気を誇る。

一方、Three 6 Mafiaの共同設立者、Juicy Jを弟に持つProject Patは、Three 6 Mafiaのアルバムへの参加を経て、2009年に初のメジャーアルバムとしてリリースした『Real Recognize Real』でBillboardのTop Rap Albums Chart8位を記録。2021年にはDrakeのシングル「Knife Talk」に参加し、同曲はBillboard Hot 100で4位をマークするなど、メンフィス・ラップシーンのOGと呼ぶにふさわしいキャリアの持ち主だ。そんなレジェンドでも、自身が普及に貢献したメンフィスのサウンドを中国のラッパーが独自に昇華させている様子を目の当たりにすれば、新たな楽曲でコラボしたくなるのは当然だろう。

中国とメンフィスという異なる国でそれぞれ活動する2人は今年、東西のコネクションを通じてタッグを結成。今月リリースしたコラボ曲「The Diplomat」では、まさに「メンフィスと中国」が出会うスイートスポットを突いたサウンドを展開している。さらに同時に公開された生成AIを用いたMVも興味深い。そこで彼らはリリックを通じた「ラップ外交」で文化の壁を越えていく様子を表現しているのだが、その姿は見ているだけでも楽しめる。

今回、LiFTEDはこの意外な組み合わせの戦友2人にインタビューを行った。


SKAI ISYOURGODインタビュー

ーー「八方来财(Stacks From All Sides)」が爆発的にヒットした経緯を教えてもらえますか?

SKAI ISYOURGOD:正直に言うと、「八方来财(Stacks From All Sides)」のヒットは、外野が思うほど神秘的なものじゃない。僕や仲間たちにとっては、ただやれることを全部やって、あとは運命に委ねた。それだけのことだよ。

ーー Project Patとは先日行われた世界最大級のヒップホップ・フェスティバル「Rolling Loud」でも共演されています。その時の気分を教えてもらえますか?

SKAI ISYOURGOD:PatとRolling Loudのステージに一緒に立つことができて、本当に最高の気分だったよ。実は去年のUSツアーのボストン公演でも一緒にやっているから共演するのは今回で2回目なんだ。でも、それぞれ全く違う経験だったよ。

ーー 中国・四川省で育ったとのことですが、リリックでは広東のことを歌い、広東語のスラングを使っています。自分にとっての地元はどこだと考えていますか?

SKAI ISYOURGOD:どこにいても自分のホームのように感じるんだ。仲間がいる場所、自分を理解してくれるリスナーがいる場所、根を張ってもっと大きなものを築ける場所、そこが自分のホームグラウンドだね。どちらも、自分のホームだと思っている。

ーー Project Patとのコラボを経て感じたことを教えてください。

SKAI ISYOURGOD:Patは真のメンフィス・ラップのOGだよ。そういう偉大な人物とコラボするときは、お互いのリスペクトがすべてなんだ。彼がラップを始めた瞬間、その声からストリートで積み重ねてきた経験と圧が一気に伝わってくる。そんな偉大なラッパーとあのようなスパークを生み出せたことで多くを学んだし、自分がこれからどう進みたいかも、よりはっきり見えるようになったよ。


Project Patインタビュー

ーー Project Pat! LiFTEDのインタビューを引き受けて頂き、本当に光栄です。

Project Pat:こちらこそ! 声をかけてもらえて嬉しいよ。ありがとう。

ーー 最初期からメンフィス・ラップに関わって来られましたが、このサウンドを築いた主要なプロデューサーは誰だと思いますか?

Project Pat:DJ SQUEEKY、Slice T、Paul、それからJuicy Jだね。俺自身は彼らほどプロデュースに関わっていたわけじゃないけど、彼らのサウンドと、メンフィスが持つクリエイティブな雰囲気にはいつも惹かれていたよ。

ーー あなたと実弟のJuicy Jはともに長いキャリアを持つ成功したMCですが、お互い競い合うような関係でしたか?

Project Pat:いや、競争したことは一度もない、ずっと支え合う関係だ。俺たちは常にお互いをサポートしてきた。『Mista Don't Play: Everythangs Workin』(2001年リリースのProject Patの代表作アルバム)とその後のアルバムはすべて、弟の夢をサポートするためのものだった。今はこれまでで一番近い関係になっているし、これから出すコラボアルバムはファンに楽しんでもらえる内容になるはずだよ。

ーー これまで10枚のアルバムをリリースし、Three 6 Mafiaとのヒット曲でのコラボも含めて数々の実績を残してきましたが、これまでのヒップホップ・キャリアにおける"最大の転機"はどのようなものでしたか?

Project Pat:「Chickenhead」(Project Patの代表的ヒット曲)がプラチナに到達し、その後『Mista Don't Play』が出た時だね。あれですべてが変わったし、「これでキャリアとして成立する、これに人生をかけられる」と確信したんだ。

ーー SKAI ISYOURGODが広東語のサウンドとメンフィスのビートをミックスして爆発的に注目を浴びているのを最初に耳にしたとき、どう感じましたか?

Project Pat:素晴らしいと思ったよ。そんなことが起きるなんて...と驚いたけどね。でも、音楽には本当に大きな力がある。それこそが音楽の存在意義だよね。本当に恵まれた状況だと感じたし、神様を第一に考えれば、神様はいつも味方になってくれるんだよ。