Interview
「日本に戻ろう」Janet Jackson日本限定公演実現の理由をプロデューサーのRandy Jacksonが語る
来日公演の舞台裏やサプライズの可能性からジャクソン・ファミリーの貴重なエピソードまで幅広く話を聞いた。
Janet Jacksonが2026年6月、日本限定の特別公演『JANET JACKSON JAPAN 2026』を神戸・横浜・名古屋の3都市で開催する。特筆すべきは、本公演がワールドツアーの一環ではなく、日本のファンのためだけに企画された完全オリジナル公演だという点だ。その背景には、2024年の来日ツアー全公演完売がある。それによって改めて証明された日本での圧倒的な人気が、今回の日本限定公演という異例の決断につながったという。
折しも同時期には、Michael Jacksonの半生を描いた伝記映画『Michael/マイケル』の日本公開も控えている。ライブと映画——2つのビッグイベントが重なる今年の6月は、日本のファンとジャクソン・ファミリーの絆がさらに深まることは間違いない。
そこでLiFTED JAPANでは、この公演に向けて来日したJanet Jacksonの実兄であり、プロデューサーでもあるRandy Jacksonにインタビューを実施。来日公演の舞台裏からサプライズの可能性、ジャクソン・ファミリーの貴重なエピソードや逆境を跳ね除ける不屈の精神力、さらには音楽シーンの未来やアジアのアーティストへの期待まで幅広く話を聞いた。
ーーまずご家族についてお聞きしたいのですが、あれほど強烈なエネルギーを持つ家族の中で育つというのは、まさに波乱万丈な経験だったと思います。その環境の中で、ご自身についてどのようなことを学びましたか?
Randy Jackson:一番大きかったのは、やっぱり「家族」そのものだね。すべての始まりだった。当時はテレビもなかったから、自分たちで歌って楽しむしかなかったんだよ。掃除しながらみんなでリズムを取って、歌って。小さな家にたくさんの子どもたちがいて、そこから自然とあのエネルギーが生まれていったんだ。
ーー家庭そのものが"創造"の場だったんですね。
Randy Jackson:まさにそう。創造のためのエコシステムが自然にできあがっていたんだよね。家族によってはそれがスポーツだったりするけど、うちの場合は音楽とダンスだった。憧れのアイドルたちの真似をして、ああなりたいって思いながらやってたんだ。
ーーThe Jackson 5として活動されていた時に、グルーピー対策として皆さんがドーベルマンを飼っていて、それに追いかけられたことがあると聞いたことがあります。本当ですか?
Randy Jackson:いや、ドーベルマンじゃなくてピットブルだよ(笑)。そのピットブルに襲われて、病院に運ばれたんだ。
ーーえっ、噛まれたんですか?
Randy Jackson:そう。犬がまず僕を追いかけて、そのあとMichaelも追いかけた。Michaelはバスケットボールのポールによじ登ったんだけど、僕も登ろうとしたらMichaelが足で蹴り落としてくるんだよ。「自分が先だ」って。それで僕は犬に噛まれちゃった(笑)。
ーーご家族のエピソードはたくさんあると思いますが、まだ世間にあまり知られていない秘蔵エピソードはありますか?
Randy Jackson:ああ、あるよ。カリフォルニアの丘陵地帯ってガラガラヘビがたくさんいるんだよね。それで、Michaelと僕は同じ部屋だったんだけど、二人で「ガラガラヘビを飼おう」って決めたんだ。
母親はもう激怒だよ。気づいたら家中にヘビのケージだらけになっていたから。しかもヘビにはエサとしてネズミをあげなきゃいけないだろう? そのネズミが逃げ出して、ビバリーヒルズ中にネズミが走り回ってさ。近所からは「ジャクソン・ファミリーの子どもたちがまた何かやってる」って苦情だらけだったよ(笑)。
ーー1979年にはすごく大きな交通事故に遭われて、そこから復活したこと、それから南米のゲリラに誘拐されて脱出されたという話もお聞きしています。数々の困難を乗り越えてこられましたが、そのサバイバル精神は、今の音楽やビジネスにどういうふうに活かされていますか?
Randy Jackson:その事故では、2年近く麻痺状態だった。歩き方を一から覚え直さなきゃいけなかったんだ。医者には「もう二度と歩けない」「左足を切断するかもしれない」って言われたけど、神の恩恵で回復することができた。
それと南米の件だけど、コロンビアとベネズエラの国境近くにあるクリスチャンのリトリートキャンプにいた時に、銃を突きつけられて誘拐されたんだ。縄で縛られて、少し暴力も受けた。でもそこから脱出することができたんだよ。それまで誰も逃げ出せた人はいなかったらしいんだけどね(笑)。
それができたのは末の弟として培ってきた強い意志のおかげかもしれない。あの経験で「強い目的を持てば必ず達成できる」ということを学んだよ。今でも自分の中にそういう様々な経験が宝箱のようになっていて、それを基にいろんな活動を続けていけるんだと思う。
ーーJanetさんのアルバム『Control』は今年でリリース40周年を迎えますが、Janet と日本のファンはすごく長く深い絆で結ばれてきたと思います。今回ワールドツアーの一環ではなく、日本だけの限定コンサートを開催しようと決めたきっかけや理由を教えていただけますか?
Randy Jackson:2024年にJanet のコンサートを日本でやった時、反応が本当に素晴らしかったんだよ。いろいろリサーチしてみたら、実はJanet がこの地域に来る機会はそれまで長い間なかった。でも前回来た時、皆さんが本当に喜んでくれてね。僕自身、10歳の時に初めてMichaelや他の兄弟と一緒に日本を訪れたんだけど、その時からずっと日本の皆さんには良くしてもらってきたんだ。
ーー日本の観客に対してはどういった印象をお持ちですか?
Randy Jackson:日本はマーケットとしても素晴らしくて、観客の皆さんが本当にアメリカの音楽、R&Bをわかってくれる。それにスタイル、ファッション、ダンス...。そういうカルチャーに対する理解が深いんだよね。だからJanetに「日本に戻ろう」って言ったんだ。
ーー今回のツアーではどういったJanetさんのステージが期待できますか?
Randy Jackson:2024年とはまったく違うものになるよ。ただ、あまり多くは言えないんだけどね。最高の期待というのは、予想外のことが起こることだと思うから。サプライズの要素を大切にしてるんだ。今、日本のファンの皆さんのために素晴らしい体験を作ろうと全力で取り組んでるところだよ。
ーーコンサート以外にリリースやコラボレーションなど、そういったことも企画されていたりしますか? 何か特別なサプライズを期待したいです。
Randy Jackson:うん、期待していいよ。ただ、それについてもまだ詳しくは言えないよ(笑)。それに言っちゃったら楽しみがなくなっちゃうだろう?
ーー6月には映画 『Michael/マイケル』の日本公開も控えています。ファンの間では、Janetさんのコンサートで何かMichaelさんに対する特別なメッセージやトリビュートがあれば嬉しいという声もあります。
Randy Jackson:ああ、それについては言えるよ。僕もそうしたいと思ってるからね。それにMichaelだけじゃなく、The Jackson 5時代も含めて、何かいい形になればいいなと思ってるんだ。
ーージャクソン・ファミリーの皆さんは子どもの頃から時代の最先端の音楽を取り入れてきたと思いますが、MichaelさんやJanetさんと新しい音楽のトレンドについて家族の間で話し合われていたことはありますか?
Randy Jackson:もちろん話してたよ。音楽は常に進化し続けるもので、今はAIやコンピューター、音楽制作ソフトも大きく変わってきている。でも僕はどうしても、自然に生まれるアーティスティックな創造性を守りたいんだよ。デジタルの普及で、それが少し失われつつあるように感じることもある。
もちろん、デジタルはデジタルで音楽の聴き方を新しくしてくれるし、それはそれでいいんだけど、僕にとって最高の音楽は、やっぱり内側から湧き出てくるもの、つまり、楽器の演奏技術やトレーニングから生まれるものなんだ。Janet やMichaelとは、いつもその話をしてたんだよ。アーティスティックな創造の本質を、自然な形で生かし続けたいってね。
ーー音楽がもともと持っていた人の心を動かす力についてはどうお考えですか?
Randy Jackson:かつての音楽がなぜあれほど特別だったかっていうと、それは人生の経験を表現する手段だったからなんだよ。ブルースは「ブルー(悲しみ)」から来ているし、ジャズもそう。その時代の感情がそのまま音楽になっていた。
でもAIやコンピューターには人間の経験の代わりは絶対にできない。音楽シーン全体の未来に対しては慎重に楽観的ではあるけど、アーティスティックなクリエーションの未来については、正直そこまで楽観的じゃないんだよね。
ーー1990年代の時点でストリーミングサービスの普及を予見されていたとお聞きしました。今はテクノロジーとエンターテインメントの距離がこれまで以上に近づいていますが、今後5年、10年で音楽の世界はどうなっていくとお考えですか?
Randy Jackson:結論から言うと、どれだけAIが発達しても、必ず人間がそこに介在していないと成り立たないと思ってるんだ。今の時代、AIやデジタルなものって、すぐわかるよね。
将来的にどうなるかはわからないけど、一つ大事にしているのは、コンピューターやPro Toolsといった機械は、あくまで「楽器」に過ぎないということ。曲を書く能力の代わりにはならない。そこには必ず人間的な側面がある。アウトプットがインプットを上回ることは絶対にないんだ。AIの中にある情報も、結局はすべて人間のインプットから来ているわけだからね。音楽の未来は進化し続けるだろうけど、人間がどこかのレベルで関わり続けなきゃいけない。それは変わらないと思うよ。

ーー現在のアジアのヒップホップシーンに対する率直なご意見を聞かせてください。知っているアーティスト、気に入っているアーティストはいますか?
Randy Jackson:たくさんいるよ。すごくいいなと思ってるんだ。以前はアメリカのアーティストとアジアのアーティストの間に壁があったんだけど、今はその壁がなくなってきている。BTSのような存在が出てきて、K-POPもJ-POPも広がっている。韓国のガールグループのmiss Aって知ってる? 少し前のグループだけど、彼女たちは素晴らしかったよ。
ーー壁がなくなってきている今、アジアのアーティストの存在はどう映っていますか?
Randy Jackson:音楽はみんなが楽しめるものであるべきだと思うんだよ。日本をはじめ、アジアのタレントはヒップホップに今までとは違うフレーバーを加えてくれている。文化的な経験が違うからこそ生まれるものがあって、アメリカの観客もそれをすごく評価してるんだ。結局すべては文化に帰結するんだよね。同じ経験をしていても、解釈の仕方が違う。その違いが素晴らしいアーティスティックなクリエーションを生み出すんだ。
ーー近年、日本のアーティストが海外で注目される機会が増えていますが、どのような印象がありますか?
Randy Jackson:日本のアーティストは、アメリカのアーティストや観客にすごく影響を与えていると思うよ。特にビジュアル面。ミュージックビデオとかのアイデアやクリエイティビティが本当に素晴らしくて、見ていて刺激を受けるんだ。今やアメリカのアーティストがアジアのアーティストのスタイルを真似するようになっている。それこそがクロスコラボレーションによるアーティスティックなクリエーションの本質だと思うんだよね。
ーー将来的に日本の才能あるアーティストとJanetさんがコラボレーションする可能性はありますか?
Randy Jackson:どうだろうね。でも、その可能性はあるよ。
ーーこれまで一緒に仕事をしたかった日本のアーティストはいますか?
Randy Jackson:坂本龍一さんだね。ずっと会いたかった人なんだけど、結局会えないまま亡くなってしまった。本当に天才だと思っていてね。今でも会えなかったことが残念なんだ。あとYMOの曲を聴いて、Michaelにも聴かせたことがあるんだよね。そういう意味では、やっぱり音楽って人と人を繋ぐものだと思うんだ。だから、さっきのコラボレーションの件も、ぜひ考えていきたいね。
ーー今でも新人アーティストを育てるビジョンをお持ちですか?
Randy Jackson:実はしばらくやっていなかったんだけど、また戻りたいと思ってるんだ。新しいアーティストを育てるということは、自分の魂を満たしてくれることなんだよね。
創造するためには、何もない「空白」のような場所に自分を置かなきゃいけない。日常の雑事に追われていると、その創造が押し殺されてしまうから。今は平穏な環境の中で音楽を作ることに集中できる場所に戻れてきていて、それがすごく心地いいんだ。毎日楽器に触らないと気が済まないんだよ。もう中毒みたいなものさ(笑)。なので、これからもっとプロデュース業に力を入れていくよ。
ーーそれは日本やアジアのアーティストも含まれますか?
Randy Jackson:もちろん、日本のアーティストという可能性もあるよ。アジアのアーティストにはいい人がたくさんいるからね。もうすでにいろいろチェックし始めているんだ。
ーー日本やアジアの若いアーティストたちにメッセージや、アーティストとして大事にすべきことを教えていただけますか?
Randy Jackson:今のアジアや日本のアーティストたちが音楽をどう解釈し、文化を共有しているのかを見るのは本当に楽しいんだよね。僕が伝えたいのは、お互いに影響し合うのはいいこと。でも同時に、一人ひとりにはそれぞれの旅があるということ。アメリカの音楽に影響されるのは自然なことだけど、それをそのまま取り入れるんじゃなくて、アジアの文化ならではのツイストを加えているところが素晴らしいと思うんだ。
特にパワフルだと感じるのは、細部へのこだわりだね。日本や韓国のプロデューサーの音楽を聴いていて、本当にディテールが素晴らしい。そのこだわりを大切にして、今やっていることを続けていってほしい。きっともっと深いところに到達できると思うよ。
【公演情報】
『JANET JACKSON JAPAN 2026』
2026年6月9日(火):神戸 GLION ARENA KOBE
2026年6月13日(土):横浜 Kアリーナ横浜
2026年6月14日(日):横浜 Kアリーナ横浜
2026年6月17日(水):名古屋 IGアリーナ
■チケット発売
オフィシャル3次先行:2026年3月20日(金)13:00~3月29日(日)23:59
海外向けインバウンドチケット受付:2026年3月20日(金)13:00~3月29日(日)23:59
■チケット情報(全席指定)
<GLION ARENA KOBE>
・VIP席:65,000円(税込)※アリーナ前方確約、VIP特典グッズ付
・SS席:35,000円(税込)
・SS席(着席指定):35,000円(税込)
・S席:22,000円(税込)
・S席(着席指定):22,000円(税込)
<Kアリーナ横浜>
・VIP席:65,000円(税込)※アリーナ前方確約、VIP特典グッズ付
・SS席:35,000円(税込)
・S席:22,000円(税込)
・A席:18,000円(税込)
<IGアリーナ>
・VIP席:65,000円(税込)※アリーナ前方確約、VIP特典グッズ付
・SS席:35,000円(税込)
・ラウンジ付きシート:25,000円(税込)※IGアリーナ専用ラウンジ利用可能、ワンドリンク付き
・S席:22,000円(税込)
・S席(着席指定):22,000円(税込)
・A席:18,000円(税込)



