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Scene Report

Killa K:4つの言語を操る「バンガロールのタミル・ボーイ」

インドのタミル系MCが多言語ライムの流儀と2027年への展望を語る。

LiFTED | LiFTED編集部 | 26 10月 2026


インド・バンガロール出身のタミル系MC、Killa KがLiFTED編集部の目に留まったのは、先月Yung Rajaとリリースした「Jalsa」がきっかけだった。猛スピードで畳みかけるタミル語のヴァースは、リズムの刻み方と言葉遊びがひときわ光っている。

ただ、知ったかぶりはやめておこう。筆者はタミル語がわからない。それでも、彼がとてつもなく細かく言葉を詰め込んでいるのは、聴けばわかる。スムーズでレイドバックしたRajaのフロウとは、これ以上ないほどの好対照だ。その後、HanumankindやプロデューサーのParimal Shaisといったアーティストと、彼が次々にプロジェクトを共にしていることもわかってきた。

バンガロールを拠点とするKilla Kは、タミル語、カンナダ語、英語、ヒンディー語を使い分けるライムで、着実に名を上げており、そのフロウとライムににじむユーモアとリアルさは、今まさに際立ってきている。同じバンガロール出身のParimal Shais、そしてVengayoと組んだ最新曲「Gulabi」も、ファンキーで思わずニヤリとさせられる一曲だ。この曲は今月、Parimalによるインド映画音楽のミックステープ・プロジェクト「Curry Chatti」の一曲としてリリースされた。以来、LiFTED編集部ではヘビーローテーションが続いている状況だ。そろそろ頃合いだろうということで、今月はチャイを飲みながらKilla Kとじっくり語り合った。

ーーKilla K、インタビューを受けてくれてうれしいです! 私たちが最初に注目したのは、Yung Rajaとの「Jalsa」でした。Yung Rajaはシンガポールのタミル系ですが、ご自身はもともとタミル・ナードゥ州の出身なんですか?

Killa K:いや、生まれも育ちもバンガロール。いわば「バンガロールのタミル・ボーイ」なんだ。ルーツはタミルだけど、バンガロールで育つと、本当にたくさんの文化や言語に触れることになる。それがアーティストとしての僕に大きく影響しているのは間違いない。この「ミックス」こそが、今の僕の土台になっているんだと思う。

ーー2019年に「Va Voi」をリリースして以来、シーンで活動を続けていますね。この曲は、バンガロールのタミル系の人たちの間でアンセム的な存在になりましたよね。当時はどんな気持ちでしたか?

Killa K:正直、クレイジーだったよ。「Va Voi」を作った時は、アンセムになるとか、そういうことは全く考えていなかったから。ただ、自然体で作りたい音楽を作っていただけなんだ。だから、みんながこの曲に共感してくれるのを目の当たりにした時の気持ちは、格別だった。人とつながるために、決まった枠にはまったり、型どおりにやったりする必要は必ずしもない。この曲がそれを教えてくれた。ありのままの自分でいて、自分の地元をレペゼンすればいい。そうすれば、みんなそのエナジーを感じ取ってくれるんだ。

ーー曲の中ではタミル語、カンナダ語、英語、ヒンディー語が使われていますが、ライムする際、一番しっくりくるのはどの言語ですか? また、今のインドのラッパーならではの悩みどころでしょうか?

Killa K:タミル語は家で話しながら育った言葉だから、やっぱり自然に出てくる。でも、バンガロールには独自の言葉と文化があって、カンナダ語はそこでの暮らしに欠かせないものなんだ。英語やヒンディー語は、表現したいことに応じて使い分けている。僕にとって大事なのは、言語を選ぶことよりも、アイデアを一番うまく伝えられる方法を見つけることなんだ。パンチラインがタミル語のほうが映えることもあれば、カンナダ語にぴったりのスラングがあることもある。英語がただフロウにハマることもあるしね。せっかく遊べる言語がこれだけあるんだから、一つに縛られたくはないよ。

ーーどんな子ども時代を過ごしましたか? ラッパーになりたいと最初に思ったのはいつ頃で、その理由を教えてください。

Killa K:バンガロールで育ったことは、僕のサウンドやものの見方に間違いなく影響している。昔から音楽やヒップホップに惹かれていて、いつしか、ただ聴いて楽しむだけのものではなくなっていった。自分でも何かを作りたくなったんだ。ラップの魅力は、なんといってもその自由さだった。自分のストーリーを語り、身の回りのことを話し、個性を表現できる。しかも、それを自分の言語でできる。誰かの真似をする必要もない。そのうち、ただヒップホップを聴くだけじゃなく、このカルチャーの一員として、自分なりに何かを還元したいんだと気づいた。Killa Kというアーティストが形になり始めたのは、そこからなんだ。

ーープロデューサーのParimal Shaisとは長くコラボレーションを続けていて、2人でたくさんの曲を作ってきました。数年前の「Jolly」は文句なしの名曲で、ブーンバップ・スタイルのバンガーでした。2人の出会いと、あの曲が生まれた経緯を教えてください。

Killa K:Parimalとは、何年もかけて音楽を通じた本当にいい関係を築いてきた。それだけ長く一緒にやっていると、お互いの好みや感覚がわかってくる。相手が何を出してくるかわかっているから、いちいち全部説明しなくても通じるんだ。「Jolly」は、とにかくヴァイブがぴったりだった。僕はあの生々しいヒップホップのエナジーが大好きで、ブーンバップのサウンドだったからこそ、バースとアティテュードにしっかり集中できた。聴いていると自然と首が揺れる、そんな一曲になったよ。Parimalと組んでいていいのは、自分たちらしさを失わずに、いろんなサウンドに挑戦できるところ。これまで2人でいろんなタイプの曲を作ってきたし、そのケミストリーは本当に大事にしているんだ。

ーーDef Jam India、Azadi、そして最近ではUMGと、これまでプロジェクトごとにさまざまなレーベルと組んできました。現在はインディペンデントで活動しているのですか? フルアルバムの構想はありますか?

Killa K:これまでいろいろなプロジェクトで、さまざまなレーベルやチームと仕事をする機会に恵まれたし、どの経験からも何かしら得るものがあった。コラボレーションは、いつも学びのチャンスだと思ってきたからね。とはいえ、結局のところ今集中しているのは、アーティストとしてのKilla Kを築き上げること。そして、自分がどんな音楽とアイデンティティを世に出したいのかを見極めることなんだ。アルバムはもちろん作りたいと思っている。シングルを単発で出すのと違って、アルバムなら自分のいろんな面を見せられるし、もっと大きなストーリーを描けると思うんだ。狙いのはっきりした作品にしたいし、聴けば「Killa Kだ」とわかるようなサウンドとアイデンティティを打ち出したい。作るからには、本当の自分をそのまま表した作品にしたい。

ーーParimal Shaisの「Curry Chatti」プロジェクトについて教えてください。「Gulabi」で3人が組むことになった経緯も聞かせてください。

Killa K:Curry Chattiは、Vengayo、Parimal、そして僕を引き合わせてくれた面白いプロジェクトなんだ。あの名曲「Gulabi Aankhen」をサンプリングできることになって、そこから「Gulabi」というタイトルが生まれた。ああいうプロジェクトに関われて、しかもParimalと一緒にやれたのはワクワクしたよ。「Gulabi」では、トラックに合うエナジーを見つけて、あとは自然に曲がまとまっていくのに任せた。映像にもそのエナジーがそのまま表れていて、とにかく楽しい仕上がりになっている。僕は、シーンの流行をなぞるだけじゃないプロジェクトに関わるのが好きなんだ。実験して、いろんなサウンドを試して、みんなに新鮮な驚きを届けたい。それが僕にとって大事なことなんだ。

ーー子どもの頃、一番影響を受けたヒップホップ・アーティストは誰ですか? また、今誰とでも組めるとしたら、一緒にやってみたいアーティストは?

Killa K:昔から、確固たる自分らしさを持っていて、誰の真似もしようとしないアーティストに刺激を受けてきた。50 Centからは特に大きな影響を受けたよ。ヒップホップは、個性が何より大事にされるカルチャーだ。僕がヒップホップを特にリスペクトしているのも、まさにそこなんだ。それから、技術で魅せることもできれば、誰もが素直に楽しめる曲も作れる。その両方を行き来できるアーティストにも刺激を受けている。どちらか片方だけじゃダメなんだ。コラボするなら、DIVINEとやってみたいね。彼のサウンドは僕とはまったく違うし、新しい視点を持ち込んでくれる。最高の音楽は、異なる2つの世界が交わるところから生まれることが多いと思う。

ーーあなたにとって、2027年はどんな年になりそうですか?

Killa K:2027年はレベルアップの年だ。音楽はもちろん、ビジュアルやアーティストとしての方向性まで、発表するものすべてにもっとはっきりとした狙いを持たせたい。クリエイティブ面でも新しいことに挑戦して、曲作りだけにとどまらず、自分の限界を押し広げていきたい。そして、長く残るものを作りたいんだ。たった一曲や一時の話題だけで記憶されるアーティストにはなりたくない。進化し続けて、みんなを驚かせ続けて、自分の歩みそのものと言える作品を積み重ねていきたい。やりたいことは山ほどあるし、これからが本当に楽しみだよ。

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

Killa K:シーンを支えてくれているみんなと、地道に頑張っているインディペンデント・アーティストたちにシャウトアウトを。今は才能あるアーティストが次々と出てきているし、シーンにはまだまだやれることがたくさんあると思う。「Va Voi」の頃からKilla Kを聴いてくれているみんな、ここまで一緒に歩んでくれてありがとう。そして、今回初めて僕を知った人は、ようこそ。お楽しみはまだまだこれから。僕たちはまだ始まったばかりだよ。