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Interview

Khantrast:移民の子が届ける「はみ出し者の讃歌」

「She Bugging」のバイラルヒットで注目を集める中国系アメリカ人ラッパーに、そのキャリアや新作アルバム『Poster Child』について話を聞いた。

LiFTED | Sean D | 26 8月 2026


中国系アメリカ人アーティストのKhantrastは、ここ数年で大きな注目を集めてきた。LiFTEDが彼を追いかけるようになったのは、2024年に「Landed in Brooklyn」をドロップして以降だ。ちょうどその頃から彼は、ニューヨーク・ドリルとダークなトラップ・ビートを軸にした、よりハードなサウンドへと舵を切った。

それ以前のKhantrastは、"アニメ・ラッパー"としてその名を知られる存在であり、2017年にSoundCloudで最初の楽曲を発表して以来、コンスタントに楽曲を発表し続けてきた。

近年の「ADD」や「Lovesick」といった曲はタイトルこそシリアスだが、彼のライミングはアイロニカルで、ユーモアの側へ振れていくことが多い。そして、その組み合わせには聴き手の身構えを解くような力があり、結果として彼は、差別的と受け取られうる言葉やテーマを数多く扱いながらも、それを押し通してしまう。相手が「ニューロダイバージェント(発達特性などにより脳の働きが定型とは異なる人を指す語)」であっても口説きにいく、と歌う「ADD」はまさにその一例なのだが、それが嫌味のように響かないのは、自分自身もどこかズレていると本人が認めているからだろう。

2ヶ月前、KhantrastはMr. Flintstoneとの楽曲「She Bugging」をリリースした。同曲のMVはコメディ色が強い内容だが、特筆すべきはニューヨークのストリートダンサーを起用したプロモ用リール動画がバイラルヒットしていることだ。そこで披露されたユニークなムーブは、今やLNGSHOT(Jay Park主宰のレーベル「MORE VISION」発のボーイズグループ)のような人気K-POPアーティストたちまでもがTikTokで真似するほど広がっている。

そんなKhantrastがLiFTED 2026年8月号のカバーに登場。そのキャリアや8月21日にリリースしたばかりの新作アルバム『Poster Child』について話を聞いた。

ーー以前からあなたにインタビューしたいと思っていました。調子はいかがですか?

Khantrast:まったりしてるよ。ただ、今はちょっと疲れてるけどね。この3、4ヶ月間、アルバムのために休みなく動画コンテンツを撮り続けてるんだ。休憩は一切なしだよ。

ーーブルックリン生まれブルックリン育ちだとお聞きしていますが、育った地区とその環境は今のあなたにどのような影響を与えましたか?

Khantrast:うちはよく引っ越してたから、ニューヨークのいろんな場所で育ったようなものだよ。チャイナタウンでも育ったし、ベイリッジでも育ったし、シープスヘッド・ベイでも育った。厳密に言うとマンハッタン生まれなんだけど、ほとんどの時間はブルックリンで過ごしたんだ。

ーーラップを始めようと決めたのは何歳のときですか? 始めたきっかけとその頃に影響を受けたのは誰かも教えてほしいです。

Khantrast:本格的にラップを始めたのは、たぶん11歳か12歳の頃だね。最初は、ただ自分が好きな曲に乗せてラップしていただけだった。そうしたら、多くの人に「いや、お前、その声質は向いてるな」って言われるようになった。正確には、書き始めたのは9歳か10歳の頃だったと思う。きっかけはポエトリーだった。俺は書くことが本当に好きで、スポークンワードにハマっていったし、ヒップホップもずっと好きだった。だから自然とこの道に入っていったんだ。スポークンワードとヒップホップ、その両方が好きだったから、最終的にそのふたつを組み合わせて、ビートに乗せてラップを始めた。友達のほとんどがラップをやっていたから、気づけばハマっていったんだと思う。ニューヨークにいると、大体みんなヒップホップをやっているから、どのみち自然とその中に入っていくことになるんだよ。

それとその頃、影響を受けたのは、Eminemの初期作品だ。Slim Shadyになる前、『Infinite』(1996年発表の自主制作アルバム)の時代のものだね。あとはRakim、Big Daddy Kane、LL Cool JといったOGたちにも影響を受けている。それから2012年か2013年頃になると、Odd Future、Joey Bada$$、Capital STEEZのようなニュースクール勢にも影響を受けた。その移り変わりはすごく速かったよ。


ーーご両親は中国からの移民一世で、以前から楽曲の中でご自身のルーツに言及してきました。それは音楽的なアイデンティティの大きな部分を占めているのでしょうか。それとも、ニューヨーク育ちの普通の子供という感覚に近いのでしょうか?

Khantrast:正直、俺はただのブルックリン出身の普通の子供だと思うよ。俺がここで育った話は、それほど特別だとは思っていない。ニューヨークで他のアジア系の子、特に福建系(中国福建省出身の移民コミュニティ)の子供たちに会うと、よく聞く話だからだ。多くの福建系の子供たちが、俺と同じような人生を送っている。親はレストランやコインランドリーで働き、子供たちも家族を助けるという名目で、賃金をもらえない労働をさせられていた。そのうえ両親は学業で優秀な成績を求めていて、それを達成できないと「お前はバカだ」と言われる。まあ、うまく言えないけどさ。これは間違いなく、アジア系ニューヨーカーに共通する経験だと思うよ。

ーー最初はアニメに言及して、その世界観を楽曲に取り入れることから始めましたよね。それは単にアニメが好きだったからですか?

Khantrast:ああ、俺はアニメが好きだったんだ。それにぶっちゃけ、当時は金がなくて、両親には家から追い出すと脅されてもいた。何とかしなきゃいけなかったんだけど、ちょうど当時アニメに本気でハマっていたこともあって、友達に「なあ、それについてラップしろよ」って言われたんだ。YouTubeに「Naruto Bluebird-Type Beat」っていうビートがあって、前々から知っていたんだけど、ある日それに乗せてやってみた。そこから一気に軌道に乗ったんだ。

ーー2024年頃から、楽曲のサウンドがより攻撃的なスタイルに変化したように思いますが、これはドリルの影響ですか? もしそうなら最初にハマったきっかけを教えてください。

Khantrast:実はドリルはずっと前から追っていたんだ。最初はシカゴ・ドリルで、G Herboみたいな連中の曲を聴いていた。その後、UKグライムが出てきて、ニューヨークもイギリスと足並みを揃えるようにその音を取り入れていった。ニューヨークにその波が来た、まさに最初の段階から俺はそこにいたんだ。

もっと言うと、アニメ系の曲をやっていた時期もドリルを追い続けていた。ただ、そっち系の曲がちょっといい感じに回っていたから、完全にはドリルに移行しなかったってだけ。そんな時にブロンクス・ドリルが猛烈な勢いで流行り出したんだけど、俺はブロンクス出身で、スキーマスクをかぶった白人ラッパーのMaxThaDemonを追っていた。あれはまさに攻撃性そのものだね。ニューヨーク出身の人間は、誰もが激情を抱えている。俺たちの内側深くには、それがあるんだ。だから、俺たちがこの空間で生きていると、脳のどこかのスイッチが入るんだと思う。

ーー「Landed in Brooklyn」にはアジアに関する言及が多く、一見すると言葉遊びのようにも聞こえます。実際には何についての曲なんですか?

Khantrast:分かるだろ、あれは面白いんだ。多くの人があの歌詞を文字通りに受け取った気がする。まるで俺が本物の移民で、ちょうどブルックリンに降り立ったみたいにね。でも実際は、俺の両親がニューヨークにやって来た話を面白おかしく語り直したものなんだ。つまり、俺自身の経験について話しているだけなんだよ。もちろん、アジア系であることは大きな要素として関わっている。俺の友達のほとんどは荒れた地区出身か、それに近い環境の出身だったし、いつもそれがちょっと面白いことだと思っていたんだ。とはいえ、俺自身は犯罪や不良行為には一切手を出さなかった。だからあの曲は、アジア系の子供としてブルックリンで育ち、それを面白いやり方で受け止めてきたという、俺自身の全般的な経験についてのものなんだよ。分かるかな?

ーー「She Bugging」のリール動画がバイラルヒットし、そのダンスムーブはLNGSHOTのようなK-POPアーティストにまで広がりました。自分の音楽が世界的に届いたことをどう受け止めていますか?

Khantrast:マジな話、最高な気分だよ。もうずっと長いこと音楽をやってきたから、自分のなかでは「やっと分かってくれたか!」、「今になってようやくみんなが気づき始めた」、そんな感覚だね。それでも、本当にすごい気分だし、俺はそのすべてに永遠に感謝している。「She Bugging」に合わせてダンスをした黒人の女の子がいて、それを元に誰かがFortniteのダンスまで作ったんだ。個人的には、彼女のバージョンとLord Heckのバージョンが、そのダンス動画の中でトップ2の出来だと思う。もう頭がおかしくなりそうだよ。言葉にならない。ちょっと圧倒されている感じなんだ。バズった時点で準備はできていたつもりだったけど、これはクレイジーだ、完全に次のレベルって感じだね。


ーー新作アルバム『Poster Child』について教えてもらえますか?また、ツアーや年内における今後の展望についても聞きたいです。

Khantrast:『Poster Child』(ある事柄の典型例・象徴として引き合いに出される人物。優等生的な模範像を指す)っていうのは、ある意味皮肉なタイトルなんだけど、聴いてもらえればきっと分かってもらえると思う。すごくアジア的だし、すごくニューヨーク的な作品だと感じてるんだ。うまい言葉が見つからないけど、これは「はみ出し者たち」のためのアルバムだと言えると思う。ニューヨークの移民の子供たちのための一枚って感じかな。言ってみれば、移民の子供たちこそが、まさにそういう存在なんだと思う。俺たちの両親の目には、決して十分な存在として映らないからね。だから、俺たちはどのみち、永遠に「はみ出し者」なんだよ。

ツアーについて言うと、アルバムを聴けば何を期待すればいいか分かるはずだ。本当に理解するには、実際に聴いてもらうしかない。すべてはそこに詰まっている。それが今作の意味するところなんだ。分かるだろ、これは少しの激情であり、少しの真実でもある。それと同時に、今の俺が立っているこのポジションにいるはずのない人々への祝福でもあるんだ。分かるかな? 俺みたいな人間は、本来ここにいるべきじゃないはずだろ?

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