2013年、ネパールのアンダーグラウンド・ヒップホップシーンで"Balen"名義で活動していたBalendra Shahは、同国の代表的なMCバトルイベント『Raw Barz』のステージに立っていた。彼の鋭いバースは、政治の腐敗と国民への抑圧を痛烈に批判し、当時の観衆を大いに沸かせた。あれから10年以上が経ち、その反骨精神は彼をフリースタイルの輪から国政のトップへと押し上げた。
現在35歳のBalendra Shahは、2021年にはすでに首都カトマンズの市長選を制し、既存の政治体制に大きな衝撃を与えていた。そして今、この元バトルMCはさらなる歴史的番狂わせを現実のものとした。
先週行われた総選挙は、昨年9月にZ世代を中心とする抗議運動が政権を打倒して以来、初めて実施された選挙だった。これはネパール政治における劇的な「世代交代」を象徴している。Balendra Shahは一連のデモを公然と支持し、旧態依然とした議会討論ではなく、まるでMCバトルのような対決型の反体制スタイルで自身の政治家としてのブランドを確立してきた。
3月12日に発表されたネパール選挙管理委員会の開票結果によると、自身の選挙区で約7万票という歴史的な最多得票数を獲得したBalendra Shahは、前首相K.P. Sharma Oliの議席を奪う圧勝を収めた。彼が属する新興の国民独立党(以下RSP)は、定数275の下院で182議席を獲得。単独政党による過半数獲得は27年ぶりの快挙となった。
2022年の結党からわずか4年、政変前は21議席の第4党に過ぎなかったRSPの躍進により、このネパール・ヒップホップシーンのベテランであるBalendra Shahが同国の次期首相に就く見通しだ。これは約20年にわたってネパールを支配してきた既存の体制に対する、国民からの強烈な「NO」というメッセージの表れだと言える。
そして、かつてラップバトルで韻を刻んでいたヘッズの成り上がりストーリーとしては、文句なしの最高の結果ではないだろうか。





