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Asia

カンボジア流コンシャス・ラップ。AK-Kが「INTRO」で提示するストリートの美学

伝統楽器Ta Khe x 土臭いBoom Bapビートに乗せ、自らの内面を深く掘り下げる。

LiFTED | Marcus Aurelius & Jun Fukunaga | 2 3月 2026


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かつて、ラッパーはまず第一にストーリーテラーであった。バズを狙ったり、「いいね」のためにフレックスしたり、再生回数に飢えたりすることはなく、人生の経験がそのままヴァースへと昇華されていた。カンボジアのヒップホップ・クルー、B-Side Khrewに所属するラッパーのAK-Kは、新曲「INTRO」でその精神を取り戻し、自身の生い立ちを紐解きながら、ラップゲームにおける自らの立ち位置を確固たるものにしている。

カンボジアのシーンにおいて”騒々しい新生児”を自称するB-Side Khrewは、装飾を削ぎ落とした、生々しく正直なヒップホップを提示し続ける注目のコレクティブだ。AK-K自身も現地のMCバトル番組『RapU Cambodia』やサイファー企画などを通じて頭角を現してきた気鋭のラッパーであり、シーンの最前線で磨き上げた飾らないアティチュードこそが彼の最大の武器となっている。


その「リアル」な姿勢を証明するかのように、本作でのAK-Kは戦いの前の深呼吸にも似たストイックさを見せる。カンボジアの伝統的な3弦楽器「Ta Khe(ター・ケー)」の音色を交えた、土臭いBoom Bapビートを巧みに乗りこなし、3分以上にわたって自らの内面を深く掘り下げる。極めて生々しく内省的なムードが漂い、最も純粋な形でのストリートコーナー・ラップを体現しているからこそ、この楽曲にフックは一切用意されていない。

モノクロで構成されたMVもまた、彼の誠実な姿勢を反映している。走る姿やトラックの荷台に揺られる様子、さらには建設現場でヴァースを蹴る姿など、AK-Kの日常の瞬間をありのままに捉えているのだ。そして、この映像の粗々しい質感は、彼が紡ぐ言葉の重みと見事にリンクしている。

「INTRO」を通じて、人生の行間にこそゲームのリズムが潜んでいることを証明してみせたAK-K。同楽曲のMVは以下でチェックしてほしい。